はじめに
「ラダー図、読めますか?」
配属先のシステムはPLC(プログラマブルロジックコントローラ)で動いており、GX Works3というソフトウェアでラダープログラムが組まれています。今後の業務でラダー図を読めるようになる必要があると判断し、自主的に勉強を始めました。
ただ、ラダー図はITエンジニアにはなじみが薄い分野です。サーバーでもネットワークでもない、製造・設備系の制御プログラム。参考書を探しても、製造業向けの内容が多くてピンとこない。
そこで今回も使ったのが、AIをハンズオンの先生にする学習法です。以前パワポの練習で試した方法と同じ構造で、GX Works3の勉強に応用しました。
PLCとラダー図とは
まず簡単に整理します。
PLC(プログラマブルロジックコントローラ) とは、工場の設備や機械を制御するコンピューターのことです。ボタンを押したらモーターが動く、センサーが反応したらバルブが開くといった動作を制御しています。
ラダー図(ラダーダイアグラム) は、そのPLCのプログラムを記述する言語のひとつです。電気回路の図に似た形で、横に並んだ「接点」と「コイル」の組み合わせでプログラムを表現します。見た目がはしご(ラダー)に似ていることから「ラダー図」と呼ばれています。
GX Works3 は、三菱電機製のPLCをプログラムするためのソフトウェアです。
今回の目標はプログラムを書けるようになることではなく、「読んで理解できるようになること」。配属先では新規プログラムの開発ではなく、既存システムの試験・保守が業務なので、ラダー図を読みながら「なぜこの動作になっているのか」「どこで異常が起きているか」を判断できるスキルが必要です。
AIをハンズオンの先生にした勉強法
学習の進め方はシンプルです。
- AIに「GX Works3を使って実務で使えるラダー図の読み方を教えて」とお願いする
- AIが1ステップずつ手順を出してくれるので、実際にGX Works3を操作しながら進める
- わからない操作や概念はその場で質問して解消する
今回はこの流れでLevel 1〜Level 20の20ステップを作ってもらい、段階的に進めました。
学習の記録はGitHubに残しています(ktr0702ot/GX-Works3)。
20ステップの学習内容
AIが設計してくれた学習ステップは以下の通りです。
| フェーズ | レベル | 内容 |
|---|---|---|
| 基礎 | Level 1 | GX Works3の概要・学習の目的 |
| 基礎 | Level 2 | PLC基礎知識(デバイス・信号の流れ) |
| 基礎 | Level 3 | GX Works3の基本操作 |
| 基礎 | Level 4 | デバイス(X/Y/M/T/C/D)の役割 |
| 基礎 | Level 5 | ラダー図の読み方(a接点・b接点・コイル) |
| 中級 | Level 6 | 論理比較・条件の組み合わせ |
| 中級 | Level 7 | タイマー・カウンター |
| 中級 | Level 8 | システムのモニタリング |
| 中級 | Level 9 | デバッグの基本 |
| 中級 | Level 10 | 検索・相互参照 |
| 中級 | Level 11 | コメント・ラベルの活用 |
| 応用 | Level 12 | セット・リセット命令 |
| 応用 | Level 13 | デバイスモニター |
| 応用 | Level 14 | データレジスタのモニタリング |
| 応用 | Level 15 | データの流れの分析 |
| 応用 | Level 16 | MOV命令(データ転送) |
| 応用 | Level 17 | 演算命令 |
| 応用 | Level 18 | プログラム比較 |
| 応用 | Level 19 | バックアップ・読み出し |
| 応用 | Level 20 | 既存PLCの調査・解読 |
実務目線の学習設計がポイント
今回AIに学習計画を作ってもらうとき、「新規プログラムを書くためではなく、既存システムの試験・保守ができるようになること」 を明確に伝えました。
その結果、学習の重点が読解・確認・モニタリング・デバッグ・不具合切り分けに絞られた内容になっています。
たとえばLevel 1の学習目標はこう定義されています。
「最終的には、GX Works3を見ながらなぜ画面や設備がその動きをしているのかを説明できる状態を目指す」
プログラミング教材にありがちな「まず書いてみよう」ではなく、「読んで判断できる」を先に目指す設計です。実際の業務に直結した目標を設定することで、学習の優先順位がぶれにくくなりました。
ラダー図を読む際の基本的な考え方として、Level 5ではこう教わりました。
- a接点:デバイスがONのとき条件成立
- b接点:デバイスがOFFのとき条件成立
- 直列配置:AND条件(全部成立したときだけ出力ON)
- 不具合調査のコツ:出力がOFFのとき、左から順に条件を確認して最初に不成立になっている箇所を特定する
設備が動かないときにラダー図を見ながら「どこで信号が止まっているか」を左から追いかけていくイメージです。
やってみて気づいたこと
ITエンジニアとPLCエンジニアでは「読む言語」が違うと感じました。
サーバーやネットワークは、コマンドを打てばレスポンスが返ってくる。でもラダー図は、電気信号の流れを図で追うイメージに近い。最初は「プログラムというより回路図を読んでいる感じ」でした。
ただ、基礎(Level 1〜5)を終えたあとは、a接点・b接点・コイルの組み合わせが「読める文字」に見えてきます。この感覚はLinuxのコマンドを覚えたときと似ていました。最初は意味不明な記号の羅列が、ある時点でスッと読めるようになる。
AIに「なぜこの接点がここにある?」と聞きながら進められるのは、独学で参考書を読み進めるより圧倒的に効率が良かったです。
まとめ
- 現場のシステムがPLC(GX Works3)で動いており、ラダー図を読めるスキルが必要になった
- AIをハンズオンの先生にして、Level 1〜20の20ステップで段階的に学習
- 目標は「書く」ではなく「読む・確認する・切り分ける」実務スキル — 試験・保守に特化した設計
- 学習記録はGitHubに公開中: ktr0702ot/GX-Works3
- AIに目的を明確に伝えることで、実務直結の学習計画が作れた
ITエンジニアがPLCと向き合うことになるケースは、IoT・スマートファクトリー・設備系の現場では今後増えていくと思います。同じ状況の方にとって、この学習法が参考になれば嬉しいです。

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