はじめに
「31歳、高卒、IT経験なし。エンジニアになれますか?」
もし当時の自分がネットでこう質問していたら、きっと「厳しい」「せめて20代のうちに」という答えが返ってきたと思います。
実際、私のキャリアはお世辞にもスマートとは言えません。工場、携帯ショップ、中古車の営業、債権回収——気づけば4回も転職を繰り返していました。学歴は高卒。ITリテラシーはゼロで、パソコンの操作すらまともにできない状態でした。
でも今、私はインフラエンジニア3年目として新規システムの導入・運用保守に携わっています。
この記事では、IT業界とは無縁だった人間がどうやってエンジニアになったのか、準備から転職活動、入社後のリアルまで、包み隠さずお伝えします。「自分にもできるのか?」と迷っている方の判断材料になれば嬉しいです。
転職前の私:4社を渡り歩いた20代
簡単に経歴をまとめると、こんな感じです。
| 年齢 | 仕事 |
|---|---|
| 19〜22歳 | 工場勤務(製造系) |
| 22〜23歳 | 携帯ショップ店員 |
| 23〜26歳 | 中古車の買取・販売の営業 |
| 27〜31歳 | 債権の管理・回収 |
転職するたびに「次こそは長く続けよう」と思っていましたが、なかなかうまくいきませんでした。
最後の債権回収の仕事は4年続きましたが、仕事内容がかなりディープで精神的に大変でした。そんな中で思ったのが、「将来のために手に職をつけたい」ということ。
どうせ努力するなら、今後も成長していく業界で戦いたい。 そう考えたとき、頭に浮かんだのがIT業界でした。
IT転職を決意。でもITリテラシーはゼロだった
IT業界に行くと決めたものの、現実は厳しかった。
- パソコンの操作がほとんどわからない
- プログラミングって何?
- そもそもインフラエンジニアって何する仕事?
ITリテラシーは文字通りゼロでした。
さらに、学歴は高卒。正直、書類選考で落とされるんじゃないかという不安が常にありました。
転職準備:資格でアピール材料を作る
学歴に自信がない分、カバーするため「プライベートで勉強していること」をアピール材料にしようと決めました。
まずは簿記2級・FP3級を取得
いきなりIT資格に飛びつく前に、まずは簿記2級とFP3級を取得しました。直接ITとは関係ありませんが、「この人は自分で勉強できる人だ」という証明になると考えたからです。
MOS 3科目を1ヶ月で取得
次に取り組んだのがMOS(Excel → Word → PowerPoint)。ITリテラシーゼロだったので、まずはパソコンの基本操作から固めようと思いました。
1ヶ月で3科目を詰め込みましたが、これが思った以上に効果的でした。パソコンに対する苦手意識が薄れて、「自分でもITの勉強ができるかも」と思えるようになったんです。
ITパスポート+基本情報技術者を約4ヶ月で取得
MOSでパソコンの基本に慣れたところで、本格的なIT資格へ。ITパスポートと基本情報技術者試験をほぼ同時進行で勉強して、約4ヶ月で両方取得しました。
正直に言うと、どちらも1回落ちています。 出来の悪さを実感しました。でも、落ちても受け直して合格すればいい。結果的には転職活動の前にどちらも取得できたので、ここで粘ったのは正解でした。
資格取得の順番まとめ
簿記2級・FP3級 ↓ MOS(Excel → Word → PowerPoint)【1ヶ月】 ↓ ITパスポート + 基本情報技術者【約4ヶ月・同時進行】 ↓ 転職活動開始
IT資格はITパスポートと基本情報の2つだけで転職活動に臨みました。「資格をもっと取ってから……」と準備しすぎるより、ある程度揃ったら動くほうが大事です。
転職活動:応募から内定まで
求人の探し方
転職サイト(doda)で「未経験」「インフラエンジニア」のキーワードで検索し、条件に合う会社に全国で10社以上応募しました。
当時は地方の田舎に住んでいたので、面接は全部リモート。コロナ以降リモート面接が当たり前になっていたのは、地方在住の自分にとっては本当にありがたかったです。
面接対策:画面の隅にカンペを置く作戦
リモート面接で工夫したのが、面接PRの原本を携帯のメモアプリで作成し、ノートPCの画面の隅に表示しておくことです。
何度も練習した上で本番に臨みましたが、万が一頭が真っ白になってもチラッと見れば軌道修正できる安心感がありました。リモート面接ならではの作戦です。
目線に気を付け、考えてる感じでチラ見してました。
結果:4社から内定
自分で10社以上応募 → 5社が面接 → 4社から内定をいただきました。
そのうち、運用の案件があることと社宅が用意されていることを条件に1社を選び、承諾。転職活動を始めたその月に決まったので、かなりスムーズでした。
未経験でも、資格を取って「自分で行動できる人間です」とアピールすれば、道は開けるんだなと実感しました。
転職後のリアル:データセンターでの2年間
良かったこと
最初の配属先は、大手企業のデータセンターで監視オペレーター。インフラエンジニアの入口としては貴重な経験でした。
- オンプレミス環境に最初に触れられた。 クラウド全盛の時代ですが、物理サーバーやネットワーク機器と身近な環境だったので、後のクラウド学習にも活きました。(実際に機器を触ったりはできませんでした。)
- 運用の基本が身についた。 アラート対応、手順書に沿った作業、報告の仕方など、エンジニアとしての基礎体力がついた
大変だったこと
一方で、正直きつい部分もありました。
- 3交代制で生活リズムが崩壊。 データセンターは24時間365日稼働なので、夜勤もあり。体調管理が本当に難しかった
- 完全マニュアル業務で、ミスには厳しい。 仕事内容自体は覚えれば楽ですが、手順を一つ間違えると大きなインシデントにつながる緊張感がありました
- 県外からの転居でアウェイ感。 知り合いゼロの土地での新生活は、仕事以外の部分でもエネルギーが必要でした。配属先の先輩や上司は全員その地域出身の人たちだったので最初はよそ者間がでていて冷たくされたこともありました。
- 資格勉強に対して周囲が悲観的。 職場は大手のデータセンターに長く勤めている方が多く、「資格なんて取っても意味ないよ」という空気がありましたし、実際に何人かに言われました。そこはあまり気にせず勉強を続けましたが、最初のほうは白い目で見られていたと思います。
それでも勉強を続けた
周囲の雰囲気に流されず、データセンター勤務の2年間で以下の資格を取得しました。
- CCNA
- LinuC Level1
- AWS SAA
- Excel VBAエキスパート
さらに、参考書や動画でデータベース、IaC(Terraform)、Docker、Git、PowerShellスクリプトなどインフラエンジニアだったら将来かかわるかもしれない領域にも触れました。仕事は監視オペレーターでしたが、プライベートの勉強でインフラエンジニアとして幅広く学び続けた2年間でした。
職場の人に学んだことをアウトプットすると全く興味を持たれませんでしたが、試験に合格した時だけは祝福してくれました。
振り返ると、かなり濃い2年間だったと思います。
ステップアップのための2度目の転職
監視オペレーターを2年ほど経験して全体的に仕事を覚えた頃、「そろそろステップアップしたい」と思い始めました。
まずは当時の営業担当に相談。「運用保守以上の業務に携わりたい」と希望を伝えました。でも返ってきたのは「案件がないから頑張って」という答え。
待っていても状況は変わらない。自分で行動するしかない。
そう思って再び転職活動を始め、現在のSES会社に転職。新規システムの導入・試験・運用保守に携わることとなり、順調にステップアップしています。
今振り返って思うこと
やっておけばよかったこと
20代のうちにIT業界に挑戦すればよかった。 これは今でも思います。
もちろん、20代のさまざまな経験が無駄だったとは思いません。でも、30代でキャリアチェンジすると体力的にも精神的にもハードルが高くなるのは事実です。「興味があるなら早く動け」——これは過去の自分に一番伝えたいことです。
やっておいてよかったこと
一方で、転職前に基本情報技術者試験まで勉強したことは本当にやっておいてよかったです。面接でのアピール材料になっただけでなく、入社後の学習にも土台として効いています。
そしてデータセンター勤務の間に資格を取り続けたこと。CCNA、LinuC、AWS SAA、Excel VBA——周りに「意味ない」と言われても勉強を続けた結果、ステップアップの転職ができました。
転職活動中、資格取得を評価してくださるかたもいたのでコツコツ勉強したかいがあったなと実感しました。
あと、この時期にジムに通い始めたこと。筋肉がついて体力がつきましたし、ちょっと若返った気もします。3交代制で崩れがちな生活リズムを、筋トレと食事管理で整えていたのは良い判断でした。今ならなんでもできそうな気がしますし、割とポジティブに物事を捉えています。
これから転職を考えている人へ
偉そうなことは言えませんが、4回転職を繰り返して31歳でIT業界に飛び込んだ人間から、いくつかお伝えできることがあります。
1. 学歴は資格でカバーできる
高卒でIT未経験でも、資格を取れば「この人は努力できる人だ」と評価してもらえます。 私の場合、簿記2級・FP3級 → MOS → ITパスポート → 基本情報という順番で、転職前に土台を固めました。
全員とはいいませんが、評価してくださる方はいます。
あとは現場で頑張るだけですね。
2. 準備しすぎるより、動くほうが大事
「もう少し資格を取ってから……」と準備期間を延ばしたくなる気持ちはわかります。でも、ITパスポートと基本情報があれば未経験OKの求人には十分エントリーできます。 私は転職活動を始めたその月に内定が出ました。
3. 入社後の勉強が本番
転職はゴールではなくスタートです。入社してからどれだけ勉強を続けるかが、キャリアの差になります。周囲が勉強していなくても、自分のペースで積み上げていけば、必ずステップアップのチャンスが来ます。
4. 環境に流されない
「資格なんて意味ない」「現場経験のほうが大事」——こういう声はどこにでもあります。もちろん現場経験は大事ですが、勉強しない理由にはなりません。 自分の目標に向かって行動し続けることが、一番確実な戦略です。
まとめ
- 高卒・IT未経験・31歳からでもインフラエンジニアになれた
- 学歴の不安は資格で補える。 簿記・MOS → ITパスポート・基本情報の順番で積み上げた
- 転職活動はdodaで10社以上応募。リモート面接ではカンペを画面に置く工夫も
- データセンターでの2年間は濃密だった。 仕事を覚えつつ、プライベートでCCNA・LinuC・AWS SAAなどを取得
- 「案件がない」と言われたら、自分で動く。 待っていても環境は変わらない
- 20代で動けばよかったという後悔はある。でも、30代からでも遅くはなかった
- 筋トレをする
筋トレも転職も、始めるのに遅すぎるということはありません。大事なのは「始めると決めて、続けること」です。4回転職を繰り返した自分でも、今はインフラエンジニアとして新しいシステムの導入に関わっています。
あなたが今「IT業界に行きたいけど、自分にできるかな」と迷っているなら、この記事が一歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです。

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